コンセプト
プロダクトにいま、真に問われていることは何でしょうか?モノが欲しいか欲しくないか、美しいか美しくないかという論点でデザインを議論してもそこには、消費者とデザイナーの見識しか見えてこないのが現実です。これからの循環型社会に向けて、私たちは地球規模でモノ自身のあり方を見つめなければならない時代になったといえるのではないでしょうか。今日の環境問題に示されたモノ文化の破綻は私たちの生産活動と生活行動が真の必要を基礎としていないことに由来しています。
かけがえのない資源や環境を大切に、そして真の人間生活の幸福を問うモノ達。それを私たちはTHE PRODUCTと呼びたいと思います。





●デザインは消費され続ける
たとえば携帯電話機の商品寿命はだいたい半年、パソコンは2年弱、車は6〜7年といったところですが、ライフサイクルが短いモノほど、頻繁にデザインしなければならない状況があります。これはデザインがおしなべて、継続性のない消費文化として、認識されやすい状況を物語っています。

●変える必要のないデザイン
基幹商品と呼べる品物は変化の度合いが小さく、モデルチェンジごとにデザインを大きく変える必要はありません。しかし現状は技術革新によって形ががらりと変わることが多いのです。自動車でたとえれば、従来的なセダンと呼ばれる4枚ドアでトランクがついた車は今の若い人の層にはあまり受け入れられてはいません。しかし、モデルチェンジの時には新しい技術がないにも関わらず、市場の刺激のためデザインをあえて変えなくてはならない状況があります。私たちはそういった産業や社会の仕組みから変えていかなければならないと考えます。


●日本の消費者は手をこまねいている
日本の製品の品質、性能は世界に誇れます。しかし、デザインはというとどこか煮え切らない類型的な印象を持ってしまうように、なかなか消費者の希望が商品に反映しないのが現実です。ヨーロッパでは消費者主体のテストレポートが多く出回っており、それを見て購買を決定することが多いようです。つまり、商品を中立な立場に立って公平に評価する社会的なシステムがまだ日本には確立されていないと言っていいと思います。過剰とも思われるマスコミの宣伝効果により、消費者にとって真に必要なものがはぐらかされ、豊かな人間生活がプロダクトの向こうに見えてこない状況があります。私たちは消費者がデザイナーであるという観点を大切にし、活動を進めていきたいと思います。


視点
世の中には、デザインする必要のないものがどんどん増え、必要としない機能が付加された製品が生産され、環境負荷がどんどん増えつづけています。あたかも満腹状態の人にさらに食べ物を食わせようとしているかのような状況があります。
THE PRODUCTは皆が欲しているシンプルな目的と、その成果を期待できる、これからのプロダクトデザインを標榜していきます。THE PRODUCTはこれからの社会や生活者にとって新たな価値基準となる生活のためのリビングプロダクトをデザインします。





●情報をデザインする
デザイン過剰のものが私たちの家庭に溢れ、その饒舌さに少々疲れを感じている現在、気がついたら、広告メディアに踊らされているだけだったということがあります。実は人はもうすでに物質的な消費に飽き始めているのです。若い世代のテレビゲームへの人気がそれを物語っています。これは情報がプロダクトとなることを示しています。私たちはモノを消費する喜びから、モノを通じて得られる情報や知的欲求や精神的充足へと価値観の転換をしていかなければならないでしょう。このことは資源消費と廃棄物の削減にも寄与するものです。


●デザインすべきモノをデザインする
最近、ニュースなどでよく取り上げられる医療ミス、注射液とクレゾール液を間違えて注射し、重大な事故を起こしてしまった、などというニュースが見受けられました。もし、薬品の表示がもっと分かりやすく、瓶の形もラベルのデザインも一見して区別できるようにデザインがなされていたら、事故は未然に防げることができたかもしれません。デザインは単に物欲を喚起するためだけのマーケティングの武器にされるのではなく、尊い人命を守るという重要な役目を担っているのです。THE PRODUCTはデザインされるべき対象物が偏在していることに注目し、これまで目が向けられなかった分野の製品に対するコラボレーションやアプローチが重要だと考えます。


●新しい素材や技術との出逢い
家電製品にブリキ板、つまりガルバリウム鋼板を使うという発想は以前までなかったことです。しかし、これが一端使われ始められると当たり前のように思えてきます。こういう新しい素材を大胆に取り入れることもデザインの使命といえます。液晶が発明されノートパソコンや携帯電話が実現したようにデザインは技術の裏打ちでもあります。THE PRODUCTは新しい素材と技術の出逢いをつくり、そこに新しい価値観を見いだします。


 


違い
人によってデザインに対するこだわりはそれぞれ違います。THE PRODUCTは循環型社会を背景に、製品に必要とされる技術や素材と素材の持つ風合いを大切に、製品が存在するそのバックグランドを見つめ、空間デザインと連動しシチュエーションに合った、最小限のデザインで、長い商品寿命、かつ丈夫で愛着のわく製品づくりをめざします。また、形ではなく製品の成り立ちが、語り継がれるようなプロダクトデザインをめざします。





●丈夫な構造
優れた構造というのは壊れないということではなく、修復が効くモノをいいます。しっかりしたプロセスを踏んで作られたモノはきちんと修復が効きます。THE PRODUCTではモノが持っている本来的な佇まいを大切に考えていきます。


●部品のマストリート化
パソコンなどは外観はさほど変わる必要のないものです。CPUが速くなったら、CPUだけを、ハードデスクが一杯になったら、ハードデスクだけを、という風に筐体があって、その中身だけを入れ替える、箪笥のような設計が必要であると考えます。さらに、空間デザインとも連動させ、プロダクトしての筐体がなく、完全に空間と一体になったような考え方が部品のマストリート化によって生まれます。一つの製品を継続的に使うということは、エコロジカルであり、環境に優しいということでもあります。


●共用化と多様性
ハードウエアもソフトウエアも日々進化してします。部品同士の接合や合体は部品や設計の共用化、規格の統一でどんどん容易になってきます。自転車やオーディオのように構造物や、部品を自社製品のみならず他社製品も、自由に組み合わすことができれば、多様性のある個性豊かなプロダクトの世界が広がっていきます。


●非物質化
これからの製品やサービスは、資源を多く消費してはなりません。たとえば自販機の缶をスティールからアルミへ、アルミから紙コップへ、紙コップからマイコップへと軽減させていかなければなりません。また、情報化の発達は電子図書のように、紙媒体のないエコロジカルな環境を生み出します。スーパーマーケットでの買い物も、マイバッグは当たり前、これからはパッケージとしての非物質化が進み、マイ容器を持ち歩く時代がやってくるのです。


●コミュニティプロダクト
私たちの個人の持ち物は公共性がありませんが、公共性を帯びた乗り物とか、オフィス事務機器やコミュニティのゴミ箱、台車など共同利用できるモノは、どんどん公共利用する必要があります。また、共有されるモノこそ大切にされるべきであり、ユニバーサルデザインが重要なのです。





進め方
THE PRODUCTは直接、メーカーや販売や流通に、人の生活に役立つ商品の開発を働きかけていきます。そして共感が得られたメーカーと共同で製品の企画を行っていきます。デザイナーは、消費者的な観点に立ち、モノに於ける外観上の責任を負うという立場から、協力者と共に信頼関係を築きながら、製品化を進めます。





●コストプランニング
一般的なプロダクトは、製造原価が約、販売価格の3分の1にあたるといわれます。THE PRODUCTは、情報化を企画段階から積極的に推し進めます。その結果、流通コストや在庫管理、販売経費や広告宣伝費などを削減することができ、余剰経費をリサイクルや環境保全に回すことができます。

●柔軟な製造方法
THE PRODUCTでは、モノづくりに関わるさまざまな人たちとコラボレートし、市場にあった適切な製造方法を模索します。たとえばアルミダイキャストにかかる費用を鋳物で代用することができるとか、簡易金型を使用するなどといった手法を用い、投資コストのバランスを考え、少量生産に対応するデザイン設計を行います。


●人間第一主義
今後ますます消費者ニーズが多様化していく中で、少量他品種の傾向はさらに強くなるでしょう。あなたにとって、社会にとって有益なプロダクト、つまり一品一様主義から出発する、THE PRODUCTの製品デザインはまず、基本的なスペックをおさえ、人間工学的、心理的、情動的アプローチを大切に、過度な全体主義、環境エゴを廃した人間味のあるプロダクトをめざします。


●エコロジーと環境
THE PRODUCTは、環境に負荷をかけない循環型社会の実現に向けて、リサイクルしやすく、メンティナンスしやすい製品のデザインをします。THE PRODUCTは素材にこだわり、環境や健康に悪影響を及ぼす素材も極力使いません。また、せっかく製品を開発しても、多量の製造エネルギーを要したり、地球環境にとって、貴重な熱帯雨林を伐採したり、輸送エネルギーを多く使う材料では、結果的に地球環境を傷つけることになります、THE PRODUCTはエコバランスを考慮して、自然な素材を利用したり、身近で生産されるさまざまな材料を有効に活用し、地域産業活性化までも念頭に入れながら、継続的に生産されるプロダクトをめざします。